「ホンジュラスの人が愛媛のお店で珈琲を淹れる、そんな未来って素敵だと思います。」愛媛県大洲市でカトラッチャ珈琲焙煎所を営む、今井英里さんが大切にしている想いとは。

愛媛県松山市出身、現在大洲市でカトラッチャ珈琲焙煎所を営んでいる今井英里(いまいえり)さん。大学卒業後に参加した、青年海外協力隊がきっかけで出向いたホンジュラス共和国での経験から、日本に帰国してもホンジュラス共和国の方々の力になりたいと始めたカトラッチャ珈琲焙煎所。

自分が関わってきた国や人々への想いを大切にして日々を過ごしている今井さんは、過去にどんな一歩を踏み出したのでしょうか。

今回は、今井英里さんのことを伺いました。

今井英里(いまい えり)
愛媛県松山市出身 1990年生まれ。
2013年3月 愛媛大学卒業。
2013年7月 青年海外協力隊の参加のためホンジュラスへ。
2019年8月 カトラッチャ珈琲焙煎所をオープン。

カトラッチャ焙煎所に関する記事はこちら

目次

子どもたちに寄り添うにはもっと経験が必要だと感じた大学時代

私は大学時代、愛媛大学教育学部に所属していました。大学3年生の時に教育実習があり、精神的に敏感な子どもと関わることがありましたが、当時は子どもに上手く寄り添うことができなかったです。その後自分には何ができるだろう、と考えるきっかけになり、自分は今までどんな苦労もしなかったな、教師になるにあたってもっと経験が必要だなと思いました。

それから、青年海外協力隊への参加を考えるようになりました。在学中に中国へ渡航経験があり、日本では考えられない環境での経験から価値観や視野が広がる海外での教育研修に興味があったからです。

その後、青年海外協力隊に応募し無事受理され、派遣された先がホンジュラス共和国という場所でした。

ホンジュラス共和国に派遣が決まった後、「ホンジュラス」とインターネットで検索して調べると「ホンジュラス 治安 最悪」などの言葉が出てきて心配しましたが、「本当かどうかは行ってみないとわからない」と大学の先生に後押しされ、行くことを決心しました。

ホンジュラス共和国には、サン・ペドロ・スーラという世界一治安が悪い街と言われている場所があったことから治安が最悪と言われていました。実際には、経済的な理由により治安が悪い場所がある一方で、私の関わってきたホンジュラスの人々はとても暖かい人ばかりでした。

協力隊として派遣されて直面した現地での考え方との違い

実際にホンジュラス共和国に行って、青年海外協力隊として現地の先生への算数の指導を行いましたが、先生への指導は難しかったです。

どのように難しかったかというと、先生の知識と私が今まで習ってきた知識がずれていたからです。正しい知識を教えたいという気持ちはありますが、どうして正しいのかを現地の先生に理解してもらい、子どもたちに正しい知識として伝えてもらうということを日本から来た若者からお願いすることはとても勇気が必要なことでした。

私も海外で同様の経験をしましたが、既に現地の先生が、子どもたちを教えている状況で日本人の若者が介入していくということがどれだけ大変なことかすごく分かります。

そのためどうしたら先生たちに信頼してもらえるか、と考えました。そして、学校の中でリーダーのような存在だった先生と一緒に算数チームを立ち上げ勉強会を始めました。その勉強会で正しい方法を伝えて理解してもらったことで、他の先生たちからも少しずつ信頼してくれるようになっていきました。

教員ではなくカトラッチャ珈琲焙煎所のオーナーへ

青年海外協力隊として教育の経験を積んだにも関わらず、なぜ愛媛で珈琲焙煎所のオーナーになろうと思ったのでしょうか。

青年海外協力隊として活動している中で、教育現場から一歩外へ出ると、貧困層の子どもたちと出会うことが多く、その度になんとか力になりたいと思ったのですが、ボランティアの身であることから何も手を差し伸べることができませんでした。その事が、とても悔しくて苦しくて、教育だけではなく経済的な面でホンジュラスの人々の力になりたいと思ったことがきっかけでした。

そんな時出会ったのが、Aroma Caféのナンシーさんでした。

それはマルカラという町の『Aroma Café』を訪れたときのことでした。 そこのコーヒーを口にした瞬間、それまで感じたことのない衝撃が走りました。コーヒーなのに、苦いだけじゃない。それは、熟したバナナのような、さとうきびのような、オレンジのような、、、口の中で、複雑なハーモニーが広がっていました。

本当に素晴らしいコーヒーでした。コーヒーを片手に、あからさまに感動している私を見て、その場に居合わせた Aroma Café のオーナーが嬉しそうに話しかけてくれました。 そのコーヒーの生産者こそ、オーナー本人、ナンシーさんだったのでした。

READYFOR「あなたと紡ぐコーヒー物語『ホンジュラスと日本を笑顔でつなぐ』」より引用

直接やり取りをすることで珈琲農家さんに優しい取引に

カトラッチャ珈琲焙煎所では、机の上にある豆の手前に珈琲農家さんの顔が見えるようなカードが並べられています。珈琲農家さんを紹介するお店は少ないように感じますが、紹介をしようと思ったのはなぜでしょうか?

本来、珈琲農家さんとカフェのオーナーの間には珈琲豆の買付業者がいて、その買付業者と取引を行い、豆を仕入れているカフェが多いです。長年、ホンジュラスのコーヒー豆は先進国に安い値段で大量に購入され続けてきました。安定した生活や農園の維持ができなくなり、不法移民という形でアメリカへ渡る珈琲農家さんも多く見られ、放棄農園が問題視されています。

カトラッチャ珈琲焙煎所では、珈琲農家さんと直接やり取りを行っています。
直接やり取りをすることで、買付業者を介することで発生する手数料分の金額が珈琲農家さんに直接支払われることになり、珈琲農家さんにとって優しい取引になるからです。

また、私が直接ホンジュラスに行って実際に珈琲農家さんの顔を見て、試飲した豆を使っているので、農家さんの想いを受け取りお客さんにその想いを伝えるために、カードを作って販売しています。

“カトラッチャ”珈琲焙煎所という名前の由来

カトラッチャというお店の名前は、どういった意味や想いがあるのでしょうか?

「カトラッチャ」は、ホンジュラスの伝説的な歴史上の人物の名前です。ホンジュラスでは今でも、カトラッチャという人物は尊敬され続けていて、人々は、カトラッチャの心を継ぐものとして自分たちのことを「カトラッチャ」と称しています。そのため、「カトラッチャ珈琲焙煎所」と名付けました。

ホンジュラスの農家さんへの想いが伝わった瞬間

最近、今年のお豆がホンジュラスから届いたんです。今年は、新型コロナウイルス感染症の影響で現地に出向いて豆を選んだり、農家さんとコミュニケーションを取ることはできなかったのですが、カトラッチャ珈琲焙煎所では農家さんと一緒にコーヒー豆の品質を高めるプロジェクトとして設備拡充の支援を行っています。

その設備拡充の支援を以前行ったのですが、その成果かもしれません。今年のお豆は特に綺麗に整っていて味も香りもより豊かになり、とても感動し嬉しかったです。

素敵ですね…!遠く離れていても心で繋がっているような印象を受けました。
相手のためを思って何か行動を起こすことで、相手も自分のことを思って何かをしてくれるということが本当に素敵です。

これからのカトラッチャ珈琲焙煎所

新型コロナウイルス感染症が収束したら、ホンジュラスに直接行きたいです。

いつか珈琲農家さんがカトラッチャ珈琲焙煎所でお客さんに自分のコーヒー豆を手渡しする、そんなことができたらとっても素敵な未来じゃないですか。

また、珈琲農家さんとの直接取り引きを活発化させ、カフェのオーナーたちが今後買付業者を介さず直接やり取りするような仕組みを作っていきたいです。

カトラッチャ珈琲焙煎所
営業時間:12時から17時
定休日:月火 ※祝日の場合営業
所在地:
〒795-0051 愛媛県大洲市五郎甲2682
アクセス:
■駅からのアクセス
JR予讃・内子線 / 五郎駅 徒歩4分(260m)
JR予讃・内子線 / 春賀駅 徒歩27分(2.1km)
■バス停からのアクセス
伊予鉄南予バス 八幡浜長浜線 五郎駅前 徒歩2分(100m)
TEL:0893-25-3838

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