秋が深まり、冬にかけての移ろいある自然を楽しむことができる季節になってきましたね。
今回は、そんな季節の観光にぴったりの歴史ある建造物と庭園が美しい、愛媛県大洲市の国指定重要文化財「臥龍山荘(がりゅうさんそう)」をご紹介します!
※写真は2024年2月に撮影したものです。
「臥龍山荘」とは
『臥龍山荘』は、愛媛県一の大河川である肱川の景勝地「臥龍淵」に臨む三千坪の山荘です。
この山荘は、大洲市新谷(にいや)出身の貿易商・河内寅次郎が、老後の余生をここで過ごしたいと大洲随一の景勝地であるこの地に明治30年頃から10余年をかけて築造しました。
『臥龍山荘』を構成する臥龍院・不老庵・知止庵の三建築は、臥龍山荘の目前に広がっている肱川や冨士山を借景として取り入れ、不老庵からも一望できるような設計になっているのだとか。
平成28年には臥龍院、不老庵、文庫の3棟が国の重要文化財に指定、さらに令和3年には庭園が国の名勝に指定され、その価値や魅力が年々高まっています。
隅々まで計算し尽くされたこだわりの「臥龍院」
「臥龍院(がりゅういん)」は、臥龍山荘を作った河内寅次郎が情熱を最もそそいだ建物です。なんと、構想に10年、工期も4年を要したのだそう。
特に、母屋は周囲に調和した均整の美を取り入れ、屋根に使用している茅葺(かやぶき)を中心に、全国各地より吟味した銘木を使用しており、隅々まで計算し尽くされた設計になっているそうです。
室内は清吹(せいすい)の間・壱是(いっし)の間・霞月(かげつ)の間の3つに大きく分かれており、それぞれのこだわりをもった部屋をぜひ楽しめますよ。
当初は浴室として建てられた「知止庵」
「知止庵」は、臥龍院と同時期に浴室として建てられた建物です。
その後、1949年(昭和24年)に内部を改造して茶室になりました。ひっそりとした佇まいに、凛とした美しさを感じます。
巧妙な造りで建てられている「不老庵」
敷地の一番奥に位置していている「不老庵」。
臥龍淵を眼下に見る崖の上に懸け造り1に建てられた数寄屋造り2で、庵そのものを船に見立てて作られており、天井は竹網代一枚張り3を船底のような形にしてあります。
- 懸け造り:崖などの高低差が大きい土地に、長い柱や貫(ぬき)で床下を固定してその上に建物を建てる建築様式 ↩︎
- 数寄屋造り:日本の建築様式のひとつで、茶室建築の手法・意匠を取り入れた住宅の様式。 格式ばらない、自由なデザインが特徴。 ↩︎
- 竹網代一枚張り:竹を裂いたり削いだりすることで薄く加工し、それを縦横、斜めに編んだ物
↩︎
「不老庵」の眼下には肱川が流れています。山々に映える季節の移ろいとともに肱川の雄大な景色を眺めることができますよ。
最後に
ぜひ大洲市の文化を知る観光のひとつとして『臥龍山荘』を訪れてみてくださいね。
今回ご紹介した場所
『臥龍山荘』
住所:大洲市大洲411-2
観覧時間:9:00~17:00(入場は16:30まで)
休館日:なし
電話:0893-24-3759(臥龍山荘 受付)
観覧料 :<普通観覧料>
大人550円
中学生以下:220円
※保護者の同伴する5歳以下の幼児は無料
※大洲市内に住所を有する65歳以上の方は無料
※身体障害者手帳、療育手帳または精神障害者保健福祉手帳を所持する方とその付添いの方1名は無料
Writer / ゆき
コメント